時代の転換点へ:「デフレの経済学」 岩田規久男

デフレの経済学

デフレの経済学

近いうちに日本銀行の総裁、副総裁3名の新人事案が示されるとのことである。いろいろな人物が候補として取りざたされているが、本書の著者である岩田規久男氏も、候補のひとりとして名前があげられている。本書を初版から間もない2002年に読んだことで、デフレを肯定し、財政破綻を煽り、日本経済の将来を悲観視するような見方から、筆者は決定的に解放されることになった。

今回の日銀人事で岩田規久男氏が総裁に指名されるようなことがあれば、日本ではじめて、標準的な経済学の知見に基づいて金融政策が運営されるようになるという希望を抱けるだろう。ネットで、「今が時代の転換点かもしれない」というつぶやきを見たが、本当にそう思う。現在の仕事に携わって以来、外国人と一緒に仕事をする機会が増えたが、日本人は彼らからよく信頼されているし、様々な面で日本の社会は彼らから高い評価を受けていると実感することが多い。戦後に日本人が懸命に築いた社会の方向性は、大筋で間違っていなかったと思う。現在のもっとも大きな問題は、デフレによる経済の縮小である。過去20年続いたデフレが終わり、日本経済が安定的な成長軌道に乗れば、日本の未来に向けて様々な可能性が開けてくると確信する。

岩田規久男日本銀行総裁を実現せよ」
2013-02-19